「ディープウェブ」と「ダークウェブ」とは同じ意味で使われることが多いですが、この2つは異なる概念です。「ディープウェブ」は、通常の検索エンジンでは見つけられないインターネット上のコンテンツを含むインターネットの一部を指し、身近に利用されています。一方「ダークウェブ」は、アクセスするのに特別なブラウザを必要とする、隠されたネットワーク内のサイトを指します。
この記事では、ディープウェブ、ダークウェブの両方について、それぞれの違いや特徴についてご説明します。
※本ブログのコンテンツは、ダークウェブの利用を提案または推奨するものではありません。ご利用になる場合はご自身の責任であることに留意の上、細心の注意を払うようおすすめいたします。
目次
ディープウェブとは?
ダークウェブとは?
ディープウェブとダークウェブの違いは?
ダークウェブやディープウェブは違法なの?
ダークウェブやディープウェブにアクセスするリスク
ディープウェブに安全にアクセスする方法
ダークウェブに安全にアクセスする方法
ダークウェブの開発者は誰?
よくある質問:ディープウェブ、ダークウェブについて
ディープウェブとは?
ディープウェブは、GoogleやBingなどの検索エンジンではアクセスできないインターネットの一部です。「非インデックス」コンテンツとも呼ばれ、ログインや合言葉など何らかのアクセス制限があり、隠されています。ディープウェブには7,500TB(テラバイト)という莫大な情報量があり、これに対し「サーフェスウェブ」には19TBの情報しかありません。つまり、ディープウェブがインターネットの90%から95%を占めていることになります。
ディープウェブの例
どんなものがディープウェブか推測してみてください。実は、ご自身が考えている以上に皆さんはディープウェブを利用しています。例えば、個人のGmailの受信トレイやGoogleドライブは、ディープウェブの一部です。他には、銀行口座ページ、ソーシャルメディアのアカウント設定ページ、ブログ管理画面、一部の学術誌などもディープウェブの一部に該当します。これらのウェブサイトは、Google(および他の検索エンジン)がクロールすることを禁じられているディレクトリの中に存在しています。
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ダークウェブとは?
ダークウェブ(またはダークネット)は、ディープウェブの小さな一部分です。これは、特別なブラウザを介してのみアクセスできるサイトの隠された集合体です。ダークウェブ上のすべてのアクティビティは基本的に匿名であるため、インターネット上で最も不透明な取引が行われる場所であることは間違いありません。英国キングス・カレッジ・ロンドンの研究者が2,700以上のダークネットサイトのコンテンツを調査したところ、その約60%が違法なコンテンツを取り扱っていることが判明しました。とは言っても、ダークウェブには合法的なサイトも存在します。
ダークウェブにアクセスするには、Candle、Not Evil、SearXなどの特別な検索エンジンが必要で、いずれも動作にはTor(トーア)などの専用ブラウザが必要です。ダークウェブでは、ユーザーもウェブ管理者も、自分の身元や居場所を含めてお互いに明かし合うことはしません。そのため、ダークウェブサーバーを停止させたり、ユーザーに地域制限をかけることは非常に困難です。
ダークウェブの例
ダークウェブではあらゆる種類の違法行為(銃器、麻薬、偽札、偽パスポート、盗難口座の売買など)が確認されています。例えば、闇サイト「シルクロード」は、おそらくダークウェブにおいて最も有名な違法マーケットの1つでした。このサイトは2013年に取締られ、閉鎖されましたが、違法薬物、偽造文書、その他の疑わしいものがオンラインで取引される実態を世界に知らしめました。
実際、「シルクロード」の閉鎖と、それに続く創業者ロス・ウルブリヒトの逮捕および有罪判決が報道されたことで、ダークウェブと違法商品に対する人々の関心を高める結果になりました。社会学者イサク・ラデガールド氏は、「メディアが報道したことで、人々のダークウェブの存在に対する認識が高まった」と断言しています。イサク氏は、シルクロードのような、闇サイトの販売データを監視するアルゴリズムを開発しており、実際に取引量の増加を確認したそうです。
しかし、ダークウェブは違法行為にのみ関わっているわけではありません。内部告発者、ジャーナリスト、活動家は、匿名性を保ちながら調査結果を世間に広めるために、頻繁にダークウェブにアクセスしています。例えば、ウィキリークスはダークウェブ上でサイトを運営しています。FacebookやDuckDuckGoでさえダークウェブ上にウェブサイトを持っています。
ディープウェブとダークウェブの違いは?
冒頭でお伝えしたように、ダークウェブとディープウェブは混同されがちです。しかし違いを理解する最も簡単な方法があります。ディープウェブすべてがダークウェブではなく、「ダークウェブすべてがディープウェブ」と覚えましょう。
さまざまな側面から両者の違いを簡単に解説します。
ディープウェブ | ダークウェブ | |
対象範囲 | ダークウェブよりはるかに規模が大きく、ウェブ検索エンジンではアクセスできない範囲のコンテンツが対象 | より狭い範囲に限定されたディープウェブの一部 |
アクセス性 | 特別なブラウザや独自プロトコルを必要とせず、ほとんどのコンテンツがパスワードで保護されている | ユーザーの匿名性を保つため、Torという専用ブラウザがないとアクセスできない |
規模 | サーフェスウェブの400~500倍の規模 | ディープウェブの0.01%、インターネット全体の5%程度 |
活用例 | 機関や企業が利用する内部ネットワークで、Gmailのような無料サービス、NetflixやAmazonのような定額制サービスがある | 主に犯罪行為、内部告発、反論表明に使用される |
安全性 | フィッシングメールや偽のログイン画面表示など、さまざまな種類の不正行為によって、ログイン資格情報が攻撃対象になる | トロイの木馬、ワーム、キーロガーなどのウイルスやマルウェアを含んだ違法コンテンツをダウンロードした場合、リスクが生じる |
それぞれの違いをなんとなく理解できましたか?次に、両者の違いについてより詳しく掘り下げて解説します。
ディープウェブ vs ダークウェブ:対象範囲
ディープウェブは、ダークウェブよりもはるかに広い範囲を占めています。Google、Safari、DuckDuckGoなどのウェブ検索エンジンではアクセスできない範囲のコンテンツを含み、メール、チャット、ソーシャルメディアのプライベートな投稿など、パスワードで保護されているものなら何でも対象です。一方でディープウェブの一部であるダークウェブは、もっと範囲が狭いものです。
ディープウェブ vs ダークウェブ:アクセス性
ディープウェブへのアクセスには、特別なブラウザや独自プロトコルは必要ありません。しかし、ダークウェブへのアクセスはTor(トーア)ブラウザでのみ可能です。Torブラウザは暗号化されているため、ダークウェブにアクセスしようとする人は、デフォルトで匿名を維持できます。さらに、ダークウェブのURLは通常のウェブアドレスとは全く異るものになります。
ダークウェブ上のサイトのURLはすべて「.onion」で終わっています。これらはオニオンサイトとも呼ばれ、一般的なサーフェスウェブ上で見られる「.com」や「.org」とは異なります。特定のプロキシを持つブラウザのみがダークウェブ上のサイトへのアクセスを許可されるよう、意図的に仕組まれているのです。また、ダークウェブ上のサイトのURLを覚えるのが非常に困難にである点も、匿名性の維持に繋がっています。
Torはダークウェブにアクセスする最も一般的な方法ですが、同じ原理を採用している不可視インターネットプロジェクト (I2P) も代替手段です。I2Pは事実上、自己完結型のインターネットであり、ユーザーは通常のウェブと同じように匿名でメールを送ったり、ブログを書いたり、チャットしたりできます。
ディープウェブ vs ダークウェブ:規模
数字的側面から両者を比べてみましょう。ディープウェブは、サーフェスウェブの約400倍から500倍の規模があります。ダークウェブはディープウェブのごく一部であり、その割合は0.01%で、インターネット全体の5%に過ぎません。
ディープウェブ vs ダークウェブ:活用例
ディープウェブは、ダークウェブよりもインターネットユーザーに広く普及しています。企業や学校が利用する内部ネットワークや、有料、無料のオンラインサービスも、すべてディープウェブの一部です。つまり、メールを見たり、銀行口座ページで残高を確認したり、Dropboxのフォルダを管理したりするとき、ユーザーはディープウェブを利用していることになります。
一方、ダークウェブでは、その特性から、(犯罪者、内部告発者、反政府活動家など)、匿名性を利用したいある種のグループのユーザーが多くなります。とはいえ、通常のインターネットユーザーであれば誰でもダークウェブにアクセスでき、これは違法ではありません。
ディープウェブ vs ダークウェブ:安全性
ディープウェブは、一般的に安全で安心して利用できるもので、個人ウェブサイトやサービス提供者は、セキュリティを維持する責任があります。しかし、ディープウェブには収益性の高い個人データが内部にあるため、サイバー犯罪者がディープウェブを標的にする傾向が強まっています。そのため、オンライン上で行う基本的な安全対策は、オンラインで自分自身を守るために非常に重要になっています。ディープウェブに安全にアクセスする方法はこちらをご覧ください。
ダークウェブでブラウジングするだけなら、一般的には安全です。危険なのは、トロイの木馬、ワーム、キーロガーなどのウイルスやマルウェアを含む違法コンテンツをダウンロードした場合です。
ダークウェブやディープウェブは違法なの?
Torブラウザを使用したり、インデックスされていないページへのアクセスは、完全に合法です。検索エンジンでアクセスできないからといって、そのページが違法行為を促進しようとしているとは限りません。同様に、ダークウェブを閲覧するためにTorブラウザにログインしても、法律を犯していることにはなりません。ただし、麻薬や偽造文書などの違法なものを購入することは、どのブラウザを使っても違法です。
ダークウェブやディープウェブにアクセスするリスク
私たちは、メール、インターネットバンキング、ソーシャルメディアなど、さまざまなオンラインサービスにアクセスする時に、ディープウェブに定期的にログイン情報を提供しています。そのためディープウェブは、フィッシングメール、Linkedinメッセージ、偽のログイン画面表示を駆使してあらゆる種類の詐欺を行い、ユーザーの個人情報を入手しようとする攻撃者からも、多くの注目を集めています。
ダークウェブのリスクは、アクセスする対象に対して注意を怠ると発生します。詐欺の被害に遭い、個人情報の流出だけでなく、違法行為や有害なコンテンツにアクセスしてしまう可能性もあります。
ディープウェブに安全にアクセスする方法
ディープウェブへのアクセスは、一般的に安全です。その多くは、オンラインでの基本的な安全対策を行うことに基づいています。
- VPNの使用:VPNは、ユーザーのIPアドレスを保護し、暗号化されたトンネルを介してインターネットトラフィックをルーティングすることで、プライバシーを維持し、ネット上での匿名性を高めます。セキュリティが保護されていない公共Wi-Fiなどのネットワーク上であっても、ハッカー、政府、インターネットサービスプロバイダ(ISP)にオンラインアクティビティを覗き見されることはありません
- 安全なパスワードの取り扱い方法を徹底する:アカウントごとに必ずユニークなパスワードを作成し、パスワードを安全な場所に保管しましょう。これらの作業が面倒だと思った場合は、パスワードマネージャーをご活用ください
ダークウェブに安全にアクセスする方法
ディープウェブと同様に、ダークウェブにも詐欺やフィッシングでデータを盗もうとする第三者がいます。ここでは、ダークウェブを利用する際の安全対策について説明します。
- Torブラウザを公式サイトからダウンロード:Torブラウザの使用は、今でもダークウェブにアクセスする最も簡単で安全な方法です。このことを知っている潜在的なサイバー攻撃者は、デバイスに感染するマルウェアやウイルスを含む偽バージョンを、Torブラウザ利用者にダウンロードさせようするのでご注意ください。torproject.orgから公式Torブラウザをダウンロードしましょう
- VPNの使用:政府やISPは、Torブラウザでのアクティビティを追跡できませんが、ユーザーがTorネットワーク上にいることは把握できます。これを防ぐにはVPNを使いましょう。ウェブトラフィックを暗号化することで不当な詮索を避け、Torで暗号化されたデータの解読をさらに困難にします
- セキュリティ対策を行う:使い捨てのメールアドレスを使い、PGPでメッセージを暗号化し、TorブラウザのJavascriptを無効にします。ランダムなonion URLをクリックしないようにし、ログインする前にサイトの信頼性を確認します。Redditでonionサイトを検証するのに、/r/deepweb、/r/onions、/r/Torという便利なソースがあります
ダークウェブの開発者は誰?
ダークウェブは、インターネットと同様に、米国政府が軍事、防衛目的で通信網を構築しようとした結果生み出されたものです。
ダークネットにアクセスするためのTorブラウザは、世界中に散らばる米国のスパイが匿名でメッセージを共有できるように設計されています。Torの開発は90年代に始まり、2000年代前半に一般向けのソフトとしてリリースされました。
ダークウェブの本来の目的は、秘密の通信を容易にすることでしたが、ネットワークの匿名性が違法行為を助長することになりました。2009年のビットコイン登場も相まって、ダークウェブは犯罪者が違法なものを調達、配布するためのプラットフォームとして急速に普及したのです。
最後に
ディープウェブとダークウェブの違いがお分かりいただけたでしょうか。ディープウェブが身近である一方、ダークウェブは少し遠い存在かもしれません。いずれにしても、ご自身のオンラインアクティビティには責任が伴うことをお忘れなく、ご利用中のネットワークのセキュリティやプライバシーについて、今一度見直してみてもいいかもしれません。
本文中のリンク記事の一部は翻訳されず、元の言語のままであることをご了承ください。
ディープウェブ、ダークウェブについてのさらなる詳細は以下のよくある質問をご確認ください。
よくある質問:ディープウェブとダークウェブについて
ディープウェブやダークウェブに最適なブラウザは?
ディープウェブを閲覧する場合は、Google ChromeやSafariなどの通常のインターネットブラウザで事足ります。しかしTorは、クッキー、閲覧履歴、その他のデータを即座に削除するため、ディープウェブとダークウェブの両方に最適です。どのブラウザを使うにしても、プライバシーとセキュリティをさらに強化できるVPNを常に使用することが最善の方法です。
ディープウェブはダークウェブより安全ですか?
理論的には、ディープウェブはダークウェブより安全です。ディープウェブとは、検索エンジンにインデックスされていないインターネットの一部に過ぎません。ダークウェブは違法行為の温床と揶揄されています。そうは言っても、ダークウェブでブラウジングするだけなら、ディープウェブでするのと同等に安全なはずです。
ダークウェブで警察は追跡できますか?
はい。非常に困難ではあるものの、警察は必要に応じてダークウェブでユーザーを追跡できます。ダークウェブにアクセスするために使用するTorブラウザは、ユーザーの身元と居場所を隠します。一般ユーザーはダークウェブ上で他のユーザーを特定できませんが、警察の場合は高度な技術を使って追跡できます。ただし、追跡するのは十分な理由があればの話です。
ディープウェブとダークウェブ、どちらがより深い?
ダークウェブはディープウェブよりも深いです。匿名ハブとしての性質上、一般のアクセスや監視から隠されています。
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