2022年11月にChatGPTが導入され、AIチャットボットによるテキスト生成機能を多くの人が初めて体感することになりました。
ChatGPTは質問に答えるだけでなく、エッセイ、詩、記事を作成可能で、ユーザーはトピック、長さ、語調などを指定することができます。ChatGPTはプロのライターの将来や学業への影響について疑問が生じている一方で、生産性と効率を向上させる正当なツールにもなっています。
実際、マサチューセッツ工科大学 (MIT) が実施した最近の調査によると、ChatGPTを使ってライティング作業を行った大卒の専門職は、従来のワードプロセッサに頼っていた人のほぼ半分の時間で作業を終えることができたそうです。また、仕事の質も45%向上しました。
では、ChatGPTを使ってライティング力を向上させるベストな方法とは何でしょう?答えは、「効果的な指示(プロンプト)を出すこと」です。
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会話をするのではないことを念頭に置くこと
ChatGPTを使って文章を書き始める前に、AIがどのようなものであるかを理解することが重要です。テキストを生成するChatGPTは、GoogleやAlexaとは異なり、事実に過剰に依存した情報を提供したり、物理的な世界と対話したりすることはできません。また、どんなに役に立ちそうでも、言う事を聞いてくれる人間でもありません。
例えばChatGPTに「私のエッセイを校正・修正して」と頼んだ場合、さらに明確に説明しない限り、ChatGPTは具体的にどのような変更や修正を求めているのかが判断できません。ChatGPTは文法ルールに基づいた修正を提案する可能性がありますが、人間の校正者が行うような文脈を理解した上での作業はできません。
基本的に、ChatGPTは必要なテキストを生成するために言葉をプログラムする感情を持たないマシンです。プロンプトがより具体的で緻密であればあるほど、ChatGPTのレスポンスは良くなります。
例えば、ChatGPTに「サングラスをかけたミニブタについてエッセイを書いて」と依頼すると、AIはその要求を満たすには程遠い、退屈で単純な文章を作成します。
しかし、アプローチを変え、プロンプトに明確な箇条書きを添えれば、望む結果を引き出せる可能性がはるかに高くなります。
例:サングラスをかけたミニブタについて、以下の点を踏まえてエッセイを書いてください
- 楽しくウィットに富んだ語調で、示唆に富み、口語的になりすぎない
- 少なくとも1つは分かりやすい例を使う
- 簡潔に
- 情報通の読者に向けて書く
- ニューヨーカーのようなスタイルを取り入れる
- 少なくとも7段落にする
- 段落ごとに言葉を変える
- 最後はダジャレで締める
よりユニークなプロンプトを使うと、より包括的でユニークな結果を得られます。
しかし、AIがすべてのプロンプトを正確に守っているわけではないことに注意してください。AIが書いた内容の多くは反復的で、一部は文脈から外れていました。これは生成AIの仕組みの典型であり、直接要求したものが常に得られるとは限らないのです。
これが、ChatGPTを使用して0から文章を作成することをお勧めしない理由です。ChatGPTは、①独自の方向に進む傾向があるうえ、②独自の事実をでっち上げてしまう傾向があるのです。代わりに、ChatGPTを以下の目的で使用することをお勧めします。
ChatGPTのプロンプトに関する注意点
OK | NG |
「簡潔」「一貫性」または「詳細」であることを要求すること | ChatGPTが文化的または個人的な文脈を理解していると想定すること |
特定の語調で書くように依頼すること(軽快な学術的トーン、率直なトーンなど) | 簡単には照合できない事実について尋ねること |
特定の聴衆(専門家、学生、一般人)が対象の場合は、その旨を伝えること | 参考文献や情報源を提示するよう求めること(これらはたいてい捏造です) |
ChatGPTに、ニューヨークタイムズ、タブロイドニュース、学術ジャーナルなど、特定の著者や出版物のスタイルを模倣するように依頼すること。自分のスタイルで書いて欲しい場合は、既存のサンプルを提示すること | 1つのチャットでトピックを混ぜること(トピックを変更する場合は、AIと新しいチャットを開始しましょう。そうしないと、結果が混乱する可能性があります) |
質問を明確にするために、例や類推を用いること | 漏洩する可能性のある機密情報や極秘情報を提供すること |
フォローアップの質問でさらに深く掘り下げたり、明確でない点をAIに明確にしてもらうようにすること | 計算をさせたり、分析をさせたりすること(誤った結果が得られる可能性が高いです) |
AIの記憶力を利用し、過去の作業を修正してもらうこと | 一度に1つのことだけを実行するように依頼すること(ChatGPTは、できるだけ多くの情報をユーザーから取得したときに最も効果的に機能します) |
要求を消化しやすい小さな塊に分割すること(例:導入部から始めて、結論に至るよう進める) | 最初の結果が希望どおりのものでない場合でも、受け入れましょう。実験と反復を続け、探している答えを見つけてください |
ChatGPTを使って文章を強化する
ChatGPTは、ライティングスタイルの洗練から、斬新なアイデアの創出、語彙力の向上まで、自分の言葉に命を吹き込むのに役立ちます。また、時間の節約もできます。ライティングプロセスをスピードアップできるものは何でも、貴重なツールです。
「人類はAIが世界を征服することを心配すべきでしょうか?」という質問にChatGPTが回答した、以下の問題のある文章を見てみましょう。明らかなスペル、文法、語句の間違いがあります(間違いのある箇所を太字で表記しています)。
“Many people thinks that AI is dangerous and could take over the world. The idea of robots be in control is terrifying and a lot of people is worried about this. But, we shouldnt forget that AI is programmed by humans, so it doesnt have the ability to do things on its own. So, humans shouldnt be worry about it.”
日本語訳:「多くの人がAIは危険で、世界を征服する可能性があると考えています。ロボットが制御するという考えは恐ろしいもので、多くの人が心配しています。ただし、AIは人間によってプログラムされているため、単独で何かを行う能力がないことを忘れてはなりません。したがって、人間は心配する必要はありません」
次に、ChatGPTに段落の主張を強調するプロンプトを与えながら、修正するように要求しましょう。
AIは元の段落をより明確で簡潔な構造にしただけでなく、より興味をそそる内容にすることも目指しました。時制の一貫性や文の構造など、いくつかのスペルミスや文法ミスが修正されました。また、適切な接続詞やつなぎのフレーズを使用して、段落の流れと一貫性を向上させました。最後に、文章をより正式でプロフェッショナルなものにするため、短縮形を避けました。
練り直された段落は必ずしも完璧とはいえませんが、ライターはさらに取り組む余地を得られ、ライティングスタイルを変更でき、思考プロセスも拡張させることができます。
ChatGPTを使って文章を強化する場合:
- 明確なゴール設定から始める:ChatGPTとやり取りする前に、何を達成したいのかを明確にしましょう。解決したい問題や、知りたい質問をはっきりさせましょう
- 関連情報を入力する:ChatGPTから可能な限り最良の回答を得るには、できるだけ多くの関連情報を与えます。これには、背景情報、文脈、および要点を理解するために再作成できると考えられるその他の詳細な関連情報が含まれる場合があります
- 具体的な指示をする:前述したように、プロンプトはできるだけ具体的に書きましょう。そうすることで、適切で有益な回答を得られやすくなります
- 回答を評価する:ChatGPTから回答を受け取ったら、時間をかけて慎重に評価しましょう。提供された洞察に基づいて、既存の文章を改良・改善する方法を探してください。そのまま採用してはいけません
- 繰り返し、改良する:ChatGPTからの回答を評価したら、得られた洞察をもとに、既存の文章を改良・改善しましょう。満足のいく結果が得られるまで、このプロセスを繰り返します
ChatGPTを使ってアイデアを生み出す
創造力の泉が枯渇し、新しいアイデアを思いつくのに苦労する瞬間は誰にでもあります。ChatGPT は、書籍、記事、その他の著作物を含むインターネットからの膨大な量のデータに基づいてトレーニングされているため、膨大な量の情報にアクセスできます。これは、行き詰まったライターが、関連性があり、有益で、創造的なアイデアを思いつくのに役立ちます。
ChatGPTを活用して、新しいアイデアを生み出すヒントをいくつかご紹介します。
ターゲットオーディエンスの立場で考えるよう指示を出す
新しいアイデアを生み出す1つの方法は、ターゲットオーディエンスの立場になって考えることです。例えば、新商品のマーケティングのアイデアを出そうとしているのであれば、ChatGPTに潜在顧客の立場になって考えてもらい、何が魅力的なのかヒントを提供してもらうことができます。
「もしもの場合」のシナリオを作成するようにプロンプトを出す
ChatGPTはプロンプトに基づいて仮定のシナリオを生成できるため、「もしもの場合」の質問をする際に役立つ貴重なツールです。
AIにキャラクターを演じさせる
ChatGPTから面白いアイデアを引き出すもう1つの方法は、ChatGPTにキャラクターになりきってもらうことです。AIに歴史上の人物や有名な作家、あるいは架空の人物になりきってもらうのです。これにより、これまで考えもしなかったような新しい洞察や視点を得ることができます。
例え話や比喩を要求する
例え話や比喩は、新しいアイデアを生み出したり、難しくて複雑なトピックを理解したりするための強力な手段になります。また、目の前のテーマについて新鮮な視点を得るのにも役立ちます。例えば、複雑な数学的概念について書いているものの、それを理解するのに苦労している場合は、ChatGPTにより理解するのに役立つ比喩を提供してもらうことができます。
ChatGPTを使ってランダムな単語やフレーズを生成する
膨大な量のテキストでトレーニングしたChatGPTは、ランダムな単語やフレーズを無限に生成する機能を備えています。この機能は、語彙を増やしたい人にとって貴重なツールとなります。さらにChatGPTは、文章の出発点として使用できるランダムなフレーズを生成するのにも役立ちます。
ChatGPTでボキャブラリーを増やす
特定の意味を伝える適切な単語を見つけるのに行き詰まった場合、ChatGPTに同義語や反意語を提案してもらうことができます。また、ChatGPTを使って新しい単語とその定義を学ぶことで、語彙を増やし、ライティングを上達させることもできます。
ChatGPTでライティングスタイルを磨く
ライティングスタイルとは、文章で自分を表現する特定の方法のことで、多くの場合、特定の言葉、語調、構造の使用によって特徴付けられます。ChatGPTでは、説明文、物語文、解説文、説得文など、さまざまなライティングスタイルの指導が可能です。
さらに、AIはさまざまなライティングのジャンルを理解するのに役立つので、特定の文章のニーズに合わせて最適なジャンルを選択できます。例えば、フィクション、ノンフィクション、詩、ドラマ、脚本などです。さらにChatGPTは、自分の文章がSEOライティングやジャンルなど特定のライティングスタイルに忠実であるかどうかを分析することや、文章を書き始める前に文章の構成方法を学ぶことにも活用できます。
例えば「メンタルヘルスのための定期的な運動の重要性」に関するエッセイを書くことになった場合、ChatGPTにその構成を手伝ってもらうことができます。
ChatGPTで新しいライティングテクニックを学ぶ
要約や言い換えから、ストーリーテリングや象徴主義まで、ChatGPTがマスターしている10のライティングテクニックをご紹介します。
テクニック | ChatGPTの役立て方 |
総括 | 複雑な情報を明確かつ簡潔に要約し、最も重要なポイントに焦点を当てる方法を提案してもらいましょう |
言い換え | 元の意味を保持しながらテキストを自分の言葉で言い換えたり、明瞭さと一貫性を向上させるために別の表現を提案してもらいましょう |
構成 | ChatGPTは複数の情報源から得られた情報を組み合わせて、一貫性のあるオリジナルの議論や物語を作成するのをサポートできます。情報源を適切に帰属させる方法についてのガイドを提供してもらいましょう |
編集・校正 | 迷ったときは文法、スペル、句読点の間違いを指摘してもらい、特定の文章の明瞭さ、一貫性、スタイルを改善する方法を指導してもらいましょう |
ストーリーテリング | ChatGPTは、説得力のあるストーリー構成、魅力的なキャラクターの作り方、さらには緊張感や対立を生み出す方法まで提供してくれます |
能動態 | AIに指示を出すことで、受動態の構造を特定して修正できます。また、能動態を効果的に使用して明瞭さとエンゲージメントを向上させる方法についてのガイドを提供してもらうことも可能です |
会話 | ChatGPTにキャラクター間のリアルで魅力的な会話を作成させることで、会話を通じてストーリーのプロットを進められます |
象徴性 | ChatGPTに、文章の中で抽象的なテーマやアイデアを表す記号を考え出すように指示を出せます。ストーリー性を深めるのに役立ちます。 |
語調 | ChatGPTに文章のトーンを確認し、読者やテーマに合わせて調整してもらいましょう |
つなぎ言葉 | 効果的な接続詞やつなぎフレーズを使用して、アイデアと段落を明確かつ論理的に接続しましょう |
あなたはChatGPTをどのように活用していますか?下のコメントで教えてください。
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ChatGPTに関するよくある質問 (FAQ)
ChatGPTの現在のユーザー数は?
ChatGPTは、サービス開始から2ヶ月で1億ユーザーを達成しました(2022年11月30日時点)。ChatGPTの1日の利用者数は1300万人を超えています。
ChatGPTは無料ですか?
はい。ChatGPTは無料で利用できます。このサービスにはChatGPT Plusという有料版があります。現在、米国ではキャンセル待ちで利用可能です。月額20米ドルで、ピーク時のChatGPTへのアクセス、チャットボットからの応答時間の短縮、新機能や改良への優先アクセスなどが可能になります。
ChatGPTアプリはありますか?
いいえ。ChatGPTはダウンロード可能なアプリを提供していません。ユーザーはブラウザでchat.openai.comにアクセスする必要があります。